タイ国日本人会文化部
メナム句会
動物
■ マンゴー蟻 まんごーあり
暑季
マンゴー樹につく橙色の大きな蟻。噛まれると痛く、腫れることもある。タイの諺“赤蟻マンゴーに潜む”は、好きな女性に告白できないくせに、周りをうろちょろして、近寄る他の男の邪魔立てだけする人のこと。
■ チンチョック
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จิ้งจก
子季語:チンチョク、チンチョ
守宮(やもり)のこと。多種あるが、特に「チンチョック・バーン(家守宮)」の種をいう。大きさ、色は日本の守宮によく似ている。体色の濃淡は、周りの色に応じて変化する。家の壁、天井に張りついてチチと鳴き、蚊などを食べる。歳時記では夏の季語だが、タイでは年中見られる。
■ トゥッケー
雨季
ตุ๊กแก
子季語:トッケー、トッケイ、トッケイヤモリ、大守宮(おおやもり)
大型の守宮(やもり)の種。和名トッケイヤモリ。体長は三十センチメートルに及ぶこともある。多種が生息しているが、よく見られるのはトゥッケー・バーンという種で、水色っぽい皮膚に橙色の斑点がある。体色の濃淡は、周りの色に応じて変化する。夜行性で昆虫や蜘蛛を食べる。足指に微細な襞状の鱗のようなものがあり、壁や天井に貼り付くことができる。家の中に入ってくることもあるが、人の姿を見るとすぐ逃げる。
「トゥッケー」と剽軽な大声で鳴く。七回以上鳴くと縁起が良いとされるが、なかなか七回も鳴かない(回数は諸説あり)。他に、朝六時から正午の間に声を聞くと朗報が訪れるという言い伝えもある。
■ ヒア
雨季
เหี้ย, ตัวเงินตัวทอง
子季語:ヒア、トゥアグン・トゥアトーン、ミズオオトカゲ、大蜥蜴(おおとかげ)
ミズオオトカゲ。運河や池など水辺に棲息し、泳ぎが得意である。体長二〜三メートルになるため、泳ぐ姿はワニと見間違えるほど。寿命は二十年ほど。「ヒア」は俗語で「この野郎」などの汚い罵り言葉にもなるため、正式名を避け、縁起よく「トゥアグン・トゥアトーン(金銀トカゲ)」と呼ぶことが多い。
■ キンカー
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กิ้งก่า
樹上に生息する蜥蜴(とかげ)やイグアナの総称。イグアナは「キンカー・ヤック(大トカゲ)」、カメレオンは「キンカー・カメレオン」という。
■ チンレーン
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จิ้งเหลน
じめじめした叢(くさむら)などに生息する蜥蜴(とかげ)の総称。
■ ウンアーン
雨季
อึ่งอ่าง
子季語:ウンアン
カエルの一種。よく見かけるのは、ウンアーン・バーンという種で、和名はアジアジムグリガエル。日本の牛蛙とは別の種類。体長五・五〜七・五センチで、メスの方が大きい。インドから東南アジア、中国南部に生息する。森林、水辺に住む。普段、土の中にいるが、雨の降り始める五〜七月、エサを探すために家屋の周りなどに出て来る。鳴き声がウンアン、ウンアーンと聞こえる。食用蛙である。
■ メーンマオ
雨季
แมงเม่า / แมลงเม่า
子季語:マレーンマオ
シロアリの羽蟻のこと。メーンマオが出ると雨季になるといわれる。一晩だけ、大発生して街灯などに群れる。チンチョック(守宮)の餌になる。
■ ノックカーワオ
涼季
นกกาเหว่า
子季語:ノックカーワオ、ノックカワオ、印度郭公(いんどかっこう)、オニカッコウ
カッコウ科の鳥。和名オニカッコウ。涼季に大きな声で鳴く。声は「カーワオ」などと聞こえる。体色は雄がカラスのような黒、雌が茶色に白の斑模様。街中でも声はよく聞かれるが、姿はなかなか見られない。
タイには暑季、雨季、涼季(寒季)の三季があります。
【暑季 ฤดูร้อน / หน้าร้อน】 二月中旬〜五月中旬。四月十三日のソンクラーン節(タイ正月、水掛祭)の頃が最も暑く、中部のバンコクでも気温が四〇度を超えることがある。国花の金雨花(ゴールデンシャワー)、火焔樹など色鮮やかな花々の咲く季節。
【雨季 ฤดูฝน / หน้าฝน】 五月中旬〜十月中旬。スコールの季節。特に、雨季の初めと終わりに雷雨が多くなる。ドリアンやマンゴスチンなど果物が豊富に出回る。
【涼季 ฤดูหนาว / หน้าหนาว】 十月中旬〜二月中旬。一般には「寒季」といい、タイ語のルドゥー・ナーウもその意味だが、メナム句会では、より実感に近く語感の美しい「涼季」をよく使っている。十二月から一月にかけて最も気温が下がり、北部の山地では降霜が見られ、バンコクでも毛布の必要な肌寒さを感じることがある。
メナム句会ではタイの季語の蒐集をしています。ほんの一例ですが、ご紹介します。