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行事

タイには暑季、雨季、涼季(寒季)の三季があります。

【暑季 ฤดูร้อน / หน้าร้อน 二月中旬〜五月中旬。四月十三日のソンクラーン節(タイ正月、水掛祭)の頃が最も暑く、中部のバンコクでも気温が四〇度を超えることがある。国花の金雨花(ゴールデンシャワー)、火焔樹など色鮮やかな花々の咲く季節。

【雨季 ฤดูฝน / หน้าฝน 五月中旬〜十月中旬。スコールの季節。特に、雨季の初めと終わりに雷雨が多くなる。ドリアンやマンゴスチンなど果物が豊富に出回る。

【涼季 ฤดูหนาว / หน้าหนาว 十月中旬〜二月中旬。一般には「寒季」といい、タイ語のルドゥー・ナーウもその意味だが、メナム句会では、より実感に近く語感の美しい「涼季」をよく使っている。十二月から一月にかけて最も気温が下がり、北部の山地では降霜が見られ、バンコクでも毛布の必要な肌寒さを感じることがある。  

 

メナム句会ではタイの季語の蒐集をしています。ほんの一例ですが、ご紹介します。

■ ソンクラーン

暑季

สงกรานต์ 
子季語:ソンクラン、タイ正月、水掛祭、灌仏会(かんぶつえ)

〈4月13〜15日〉

 ソンクラーンとは梵語起源のタイ語で、太陽が次の黄道帯に入ることを意味する(黄道帯は十二宮に分けられている)。すなわち、本来、毎月の元日がソンクラーンであるが、通例、単に「ソンクラーン」といっても十二宮第一の白羊宮に至る「マハー・ソンクラーン(大ソンクラーン)」のことを指す。

 スコータイ時代からソンクラーンの三日間が祝われてきたが、太陽暦採用以降は、四月十三日が元日と定められた。習慣として、元日の朝、寺院に行き、僧侶にお布施をする。その日の午後、仏像を洗う儀式を行い、年長者のもとを訪れ、手に香水をかけて尊敬の念を示し、祝福の言葉をかけて頂く。また、この三日間、互いに水を掛け合って興じる。これは次の耕作期に雨が降るよう祈る意味があり、蛇の神(ナーガ)が大海の水を吹き出して遊ぶと雨が降るという信仰に基づく。四月十三〜十五日は公休日。

■ プーチャモンコン

暑季

พืชมงคล
子季語:春耕節(しゅんこうせつ)、春耕会(しゅんこうえ)、始耕祭(しこうさい)

〈5月〉

 バラモン教起源の始耕の儀式で、プーチャモンコン(Cultivating ceremony)とレークナー(Ploughing ceremony)の二つの行事が合わさったもの。スコータイ時代から行われていたといわれる。タイ陰暦六月下弦の吉日が占いで選ばれる。

  儀式は、午前八時過ぎから(十九分など、タイで縁起のよい九のつく数字が開始時刻とされる)、王宮前広場で、国王ご臨席の下に行われる。

 まず、鮮やかな衣装を纏った祭王、バラモン僧、美女、鋤のつけられた二頭の聖なる白い雄牛(プラコー)の行列が広場を九周する。最後の三周になると、祭王が籾を撒くが、たくさんの花びらの混ぜられた種籾が高くふり撒かれる光景は美しい。籾の籠を吊るした天秤棒を担ぐのは、美女の役目で、重さ十キログラムほどもあるため、選考には体力も勘案される。

 次に、祭王が長さの異なる三枚の腰布(パーヌン)を一枚選ぶことにより、来るべき農耕期の天候を予言する。長さはクープという単位(一クープ=掌を広げ、親指の先から薬指または小指の先まで。約二十五センチメートル)で表され、四、五、六クープのパーヌンが用意される。四クープを選ぶと、降雨が比較的多く、高地の田は豊作、低地の田は不作のこともある、五クープを選ぶと、降雨は適量、稲は豊作、果物、肉類は豊饒、六クープを選ぶと、降雨は少ない、低地の田は豊作、高地の田は不作のこともある——と予言される。

  その後、二頭の白牛に七種類の餌(米、トウモロコシ、豆、ゴマ、水、草、酒)を与えることにより収穫を予言する。牛が米またはトウモロコシを食べると、穀物、果物が豊作、豆またはゴマを食べると、果物、食糧が豊作、水または草を飲んだり食べたりすると、十分な降雨があり、穀物、果物、食糧、肉類が豊饒、そして、酒を飲むと、交通の便が増し、貿易が発展し、経済が良好化する——と予言される。

  儀式の後は、人々が争うように、撒かれた籾を拾い合う。農民は持ち帰って蒔くと豊作に恵まれ、その他の者は財布に入れると収入が増えると信じられている。

  公休日であり、役所や学校は休みになるが、一般に、銀行や民間企業は営業する。

■ ウィサーカブーチャー

暑季

วันวิสาขบูชา
子季語:仏誕節(ぶったんせつ)

〈5月頃〉

 仏教上の祝祭日。タイ陰暦六月(閏月がある年は七月)上弦十五日(太陽暦の五月頃)。釈迦の降誕、成道、入滅の三つが生じた日。これらは奇しくも同じ日に生じたと信じられている。公休日

■ ワン・ワーイクルー

雨季

วันไหว้ครู
子季語:拝師の日(はいしのひ)

〈6月〉

 現在、拝師の日の儀式は、通常、六月第二木曜日(または任意の別の日)に、小学校から大学までの教育機関で行われる。学生はバナナの葉と様々な花で美しく飾ったパーン(高杯)を恩師に捧げる。捧げるとよいとされるものは、(1) ドーク・ケム(サンタンカ。タイ名は「針の花」の意。針のように鋭敏な頭脳を持つようにと願いが込められる) (2) 茄子の花(茄子の花は下向きに咲くことから、謙虚さを象徴) (3) ヤー・プレーク(芝によく似たイネ科の草。丈夫で少々踏まれても持ち堪える雑草であることから、忍耐強くなるように、貧富の差で学徒が差別されることのないようにという願いが込められる)の三種類が主である。パーン(高杯)にバナナの葉を並べ、捧げ物とカーオ・トーク(ポップコーン状に弾けさせた米。弱火で静かに米を炒るとポンと弾けることから、礼儀正しく規則に従う人は自然に突出し秀でた人になれるという意味を象徴)、蠟燭と線香などを美しく飾り付ける。学校の教師だけでなく、ムエタイ(ムアイ・タイ)、舞踊、医者、その他の恩師に対しても様々な形式で尊敬の念を示す儀式が行われる。

  拝師の日の儀式は、ラーマ一世王(在位・一七八二〜一八〇九)時代の末期から始まったといわれる。その頃、子供の教育は寺院で行われており、保護者が尊敬と加護の祈りと願いを込めて、僧侶に対し、花、ろうそく、線香などを捧げる習慣があったという。一九三二年の立憲革命後に制度化され、新学年の始まる五月の木曜日に行うこととされた。その後、大学の始業時期が変わったため、一九六二年から六月に変更された。

■ 端午節 たんごせつ

雨季

เทศกาลไหว้บ๊ะจ่าง

〈6月頃〉

 タイでは中国旧暦五月五日に粽(バチャーン)を食べる。

■ 国王誕生日

雨季

วันเฉลิมพระชนมพรรษา สมเด็จพระเจ้าอยู่หัวมหาวชิราลงกรณ บดินทรเทพยวรางกูร

〈7月28日〉

 ラーマ十世ワチラーロンコーン国王(一九五二年〜、在位・二〇一六年十月十三日〜)の生誕日。ワチラーロンコーン国王の誕生曜日は月曜で、曜日の色は黄色。公休日。

■ 王妃誕生日

雨季

วันเฉลิมพระชนมพรรษา สมเด็จพระนางเจ้าสุทิดา พัชรสุธาพิมลลักษณ พระบรมราชินี

〈6月3日〉

 ラーマ十世のスティダー王妃(一九七八年〜)の生誕日。公休日。

■ ワン・スントーンプー

雨季

วันสุนทรภู่
子季語:文芸の日

〈6月26日〉

 毎年六月二十六日。タイの詩聖スントーンプー(一七八六~一八五五)の誕生日。プーは貧しい生まれだったが、宮廷詩人としてラーマ一世から四世までに仕え、プラ・スントーンウォーハーンという称号を賜った。紀行詩や詩劇、格言集など多くの作品を残し、中でも『プラ・アパイマニー』という長大な物語は有名。

■ アーサーンハブーチャー

雨季

วันอาสาฬหบูชา

子季語:三宝節(さんぽうせつ)

〈7月頃〉

 仏教上の祝祭日。タイ陰暦八月の満月の日。釈迦が初めて仏法を宣言し、最初の五人よりなる僧伽(そうぎゃ)が成立して仏・法・僧の三宝が完成し、最初の説法が行われた日である。公休日。

■ カウパンサー

雨季

เข้าพรรษา

子季語:カオパンサー、入安居(いりあんご)、安居入り(あんごいり)

〈7〜8月頃〉

 仏教行事。タイ陰暦第八月下弦第一日。安居の三ヵ月間は、短期の出家をする男子が多い。タイでは、男子は出家して父母に徳を積んだあとで結婚するのがよいとされる。一般仏教徒は、寺に集まり、寄進をする。東北部ウボンラーチャターニー県では、毎年、寺院に寄贈する蜜蝋の工芸品が製作され、大蝋燭のパレードが行われる。公休日。

■ 母の日

雨季

วันแม่แห่งชาติ

〈8月12日〉

 シリキット前王妃の生誕日(一九三二年〜)。ジャスミンの花を母に贈る。シリキット前王妃の誕生曜日は金曜で、曜日の色は水色。公休日。

■ 中元節 ちゅうげんせつ

雨季

วันสารทจีน

子季語:サートチーン、サーチーン

〈8〜9月頃〉

 中国陰暦八月十五日。この月は鬼門が開き、鬼月となることから、鬼(先祖の霊)を送り迎えする節目とされた。中国、道教の『三元論』からきている(上元=正月十五日、中元=八月十五日、下元=十月十五日)。

 タイの華人は、先祖の霊に供え物をして拝む。供え物には、アヒルや鶏の丸焼き、トゥアイ・フー(蒸しパンのような菓子)、赤い点の描かれたカノム・クイツァイ(ニラを包んだ餅のようなもの)、カノム・ケン(バナナの葉で包んだ甘い蒸し餅)、カノム・ティアン(バナナの葉で三角に包んだ餅)、果物、茶、中国酒、金銀の紙財、白米、スープ、豚、魚などがある。

■ キンチェー

雨季

เทศกาลกินเจ

子季語:菜食祭、菜食期間、精進旬日

〈10月頃〉

 中国起源の精進期間。中国語は九皇爺、英語はNine Emperor God Festival。「キン」は「食べる」の意、「チェー」は中国語の「齋(=精進料理)」から来ている。毎年、中国陰暦九月上弦一日~九日の九日間。タイの他、マレーシアやシンガポールにもこの習慣が伝わっている。

 人々は身体を清め、白装束で寺に参拝し、菜食に徹する。キンチェーに参加する人は、そうでない人と食器や鍋も分けなければならない。食堂や屋台では、黄色の旗に「齋」又はタイ語で「チェー」と朱文字を書いたものを掲げ、精進料理ということを示す。豆腐などを肉や魚に見立てた料理も多く売られる。動物性油脂、卵、ナムプラー(魚醤)も使えないため、スーパーにも、それらを含まない醤油やソース、パン、即席ラーメンなどが「齋」のマーク付きでたくさん並ぶ。

 バンコクでは、中華街であるヤワラートに参拝者が多く集まる。また、南部のプーケット県は、奇祭が行われることで有名。祭では、修行者が難行の成果を示すため、長い針で顔や身体を刺したり、刃物のついた梯子を登ったり、火渡りをしたりする。

■ プーミポンアドゥンヤデート大王崩御の日

雨季

วันคล้ายวันสวรรคต พระบาทสมเด็จพระปรมินทรมหาภูมิพลอดุลยเดช

〈10月13日〉

 ラーマ九世プーミポンアドゥンヤデート大王(พระบาทสมเด็จพระปรมินทรมหาภูมิพลอดุลยเดช/一九二七・十二・五〜二〇一六・十・十三、在位一九四六・六・九〜二〇一六・十・十三)の崩御の日。公休日。

■ 民主主義の日

雨季

เหตุการณ์ 14 ตุลา / วันมหาวิปโยค

〈10月14日〉

 一九七三年、学生らがタノーム・キッティカチョーン政権に抗議し、決起したが、武力弾圧で流血事態に至った。十月十四日政変、血の日曜日事件などと呼ばれ、記憶されている。

■ ワン・ピヤマハーラート

雨季

วันปิยมหาราช

子季語:チュラーロンコーン大王の日、チュラーロンコーン大王祭

〈10月23日〉

 ラーマ五世チュラーロンコーン大王の崩御(一八五三・九・二十〜一九一〇・十・二十三)の日。公休日。

■ オークパンサー

涼季

ออกพรรษา

子季語:出安居(であんご)、安居明け(あんごあけ)

〈10月頃〉

  仏教行事。タイ陰暦十一月上弦十五日。この日から僧たちは外泊が許される。出安居の翌日は僧に食物を差し上げる習慣がある。また、短期の出家僧が還俗し、クラヤーサート(カヤサート)というピーナッツ、ゴマ、膨らませた米、蜂蜜の入ったおこしのような菓子などで迎えられる。

■ トートカティン

涼季

ทอดกฐิน
子季語:僧衣贈呈式

〈10月頃〉

 タイ陰暦十一月下弦一日(出安居の翌日)から三十日間のうちいずれかの日が各寺によって決められる。カティンとは、僧衣を縫うときに使う木枠をいう(長さ二・五メートル、幅一・五メートルと寸法が決まっている)。僧衣は特定の僧侶に献じてはならないので、五人以上の僧侶の前に置く(トート)こととなっている。

■ ローイクラトン

涼季

ลอยกระทง
子季語:ロイカトン、灯籠流し

〈11月〉

 タイの灯籠流し。ローイクラトン。タイ陰暦十二月上弦十五日(太陽暦の十一月頃)。バナナの葉で作った小さなクラトン(灯籠)に蝋燭や花を入れて河などに流す。バラモンの儀式に由来するともいわれているが、タイでは収穫の時期、農民が恩恵深い水の精霊に感謝する祭となった。蓮の花の形の灯籠は、スコータイ王朝(十三世紀〜一四三八)のノッパマート妃が考案したという

 アユタヤー、スコータイ、チエンマイなど各地でイベントが開かれ、クラトン創始者の名にちなんだ「ノッパマート美人コンテスト」などが行われる。北部の「コームローイ(天灯。紙製の熱気球)」も有名である。

  現在は、恋人同士が末永く一緒にいられるよう願ってクラトンを流すことも多い。バンコクではチャオプラヤー河、チュラーロンコーン大学やルムピニー公園の池などに人が多く集まる。

■ 父の日

涼季

วันพ่อแห่งชาติ

〈12月5日〉

 ラーマ九世プーミポンアドゥンヤデート大王(一九二七・十二・五〜二〇一六・十・十三、在位一九四六・六・九〜二〇一六・十・十三)の生誕日。公休日。

■ 憲法記念日

涼季

วันรัฐธรรมนูญ

〈12月10日〉

 一二三八年の建国以来、専制君主体制だったタイは、一九三二年六月二十四日の立憲革命を経て立憲君主政体(立憲主義的国家体制)をとっている。同年六月二十七日に臨時憲法が公布され、十二月十日に最初の憲法が発布された。公休日。

■ 旧正月

涼季

วันตรุษจีน

子季語:トゥルッチーン、トゥルッチン、トゥッチーン、旧正、旧正月、中国正月、春節

〈1〜2月頃〉

 元日の前々日はワン・チャーイ(買い出しの日)といい、必要な食物等を買う。前日はワン・ワーイ( 祭祀の日)といい、先祖の霊に供え物をして祀る。元日はワン・ティアウ(遊覧の日)といい、「新正如意(シンジア・ユーイー)」「新年發財(シンニー・フアチャイ)」と言って祝う。親戚などが集まり、紅包(アンパオ)という赤いお年玉袋のようなものにお金を入れて配る。元日は、福が逃げないよう、不吉・不謹慎な言葉を口にしてはならない、髪を切ったり洗ったりしてはならない、爪を切ってはならない、白黒だけの服装をしてはならないなどの決まりごとがある。

■ マーカブーチャー

涼季

วันมาฆบูชา

子季語:マカブチャ、マカブシャ、万仏会(ばんぶつえ)、万仏節(ばんぶつせつ)

〈2〜3月頃〉

 仏教上の祝祭日。釈迦がウェールワン寺院を訪れた際、悟りの境地に達した千二百五十人の弟子が偶然一堂に会したという奇跡的な出来事を祝う日。タイ陰暦三月又は四月の満月の日と定められている。人々は花、線香、ろうそくなどの供物を持って寺に参詣し、本堂の廻りを仏・法・僧の三徳を偲びながら三回廻り(ウィエンティエンという)、説法を聞く。公休日。

■ 清明節 せいめいせつ

暑季

เทศกาลเช็งเม้ง

子季語:チェンメン

〈4月5日〉

 二十四節気の一。春分と穀雨の間で、万物が清々しく明るく美しい頃。タイでは、原則として毎年四月五日としている。華人は、親族で集まって先祖の墓参をする。華人の墓地は、チョンブリー県、サラブリー県、ラーチャブリー県などにある。かつては前後合わせた一週間のいずれかの日に墓参したが、交通渋滞がひどくなるため、現在は期間を三週間ほど設けている。供物は、茶、酒、白米、八〜十品のおかず、饅頭、果物、菓子などである。

■ チャックリー王朝記念日

暑季

วันจักรี 

子季語:チャクリデー

〈4月6日〉

 現王朝の創設記念日。一七八二年四月六日、トンブリー王朝の武将だったチャオプラヤー・チャックリーが国民に推されて王位につき、現ラッタナコーシン王朝の初代王(ラーマ一世王)となった。公休日。

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